知識と日陰の備忘録

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<翼の恩返し>はBF強化となり得るか?〜BF連載第1回〜

こんにちは!またまた久しぶりになってしまいました。アキーシャです。ブログを書いてない間、何をしていたかと言いますとウマ娘でございます。あれはマジで無限に時間が溶けるゲームですね〜。やりだすとエンドレスでやってしまうのでよくないっす。皆さんも、ゲームのハマりすぎには注意してくださいね!

 

さて、私がウマ娘にうつつを抜かしている間に、鳥獣族サポートとなる新規カードが発表されました。Animation Chronicle 2021に収録された新規カード<翼の恩返し>ですね。こちらのカード、非常にゆるい条件かつ全く縛りもない状態で2ドローできるとかいう破格の効果をもっているので、発表当初から話題にされておりました。

 

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鳥獣族といえば、そう、アキーシャの相棒であるBFの主な種族でもあります。それもあって、このカード発表後、SNSなどでは「BF強化だ!」という意見をちらほら見かけました。

 

おそらく皆さん、前回のDP以降、ストラク候補にも入りながら長らくBFに強化が来ていないタイミングでこの<翼の恩返し>が発表されたこともあって、ものすごく強化されているように感じているのかもしれません。ですが、私はそれを見ていて逆にものすごい違和感を感じたんですね。今回はこの<翼の恩返し>がBF強化たり得るかについて、個人的に考察した結果を述べていきたいと思います。それではいってみましょう!

 

 

 

そもそも、「強化」を定義してみる

遊戯王OCGにおいて、テーマが強化される、とはどのような状態のことを言うでしょうか?まずは私がこの記事を書いていく上で必要となる、私なりの「強化」の定義をしておきたいと思います。ここに関しては解釈違いがあると思いますが、「あぁこいつはこう言うふうに考えてるんだな」って感じで軽く流してくれて構いません。あまりにも解釈が相容れない場合はその場でブラウザバック推奨です。

 

1. 初動の確保・動きの安定

まずはなんといっても、初動とその後の動きを安定させることです。そのために、初動となるカードを引き込んだり、誘発を打たれた時にでもうまく切り抜けやすくなるようにすることで、テーマ独自の動きを安定させるカードが生まれれば、それは間違いなくテーマ強化と言えると思います。最近の例で言えば(ぶっ壊れすぎですが)<LL-バード・コール>や<サイバーダーク・ワールド>がこれにあてはまります。

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2.フィニッシャーor制圧効果の獲得、もしくはそれの補助

次に、やりたい動きを通した上で、最終盤面に残るカードが、強力であればあるほど、強い動きといえます。そんな中で、テーマ内に強力なカードを持つ大型がいなければ、それを配ることが、あるいは既に存在はするものの出しにくいor効果が使いにくいためにそれを補助するカードっていうのは、わかりやすい強化新規カードと言えます。こちらも最近のカードでいえば、テーマとしてほとんど完成していなかった<フルール>のエースモンスターとしてリメイク登場した<フルールド・バロネス>や、効果を使用するとめちゃくちゃ弱くなってしまっていた<鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン>の効果を補助する<サイバーダーク・インヴェイジョン>なんかがこれにあたります。

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3.弱点の補強

さらに、動きを強くする、というよりはむしろ弱さをカバーするカードというのも、強化新規といえます。これは発売前のカードなので画像を省略しますが、ペンギン新規の<ペンギン勇士>が、リバース効果の遅さをカバーする効果を持っており、弱点をカバーする強化新規であるといえます。

 

私は以上3点が「テーマを強化する」ということだと考えております。このうちどれか1つでも満たしていれば、それは強化といえます。もちろん、そのカードはテーマ内のカードである必要はありません。一番わかりやすいのは<鉄獣戦線>だと思いますが、あるテーマや汎用カードが結果としてまた別のテーマを強化していることにつながるというのは、遊戯王ではよくある話です。今回の話題である<翼の恩返し>も、テーマカードではなく、種族汎用カードですので、性質としては<鉄獣戦線>に似ていると言っても良いでしょう。(性能ではなくて、あくまで強化の性質の話ですが)

 

で、<翼の恩返し>はBFにとってどうなん?

さて、長ったらしい定義が終わったところで本題に戻ります。

 

まず、結論から申し上げますと、私が先ほどあげた定義に則るならば、<翼の恩返し>はBF強化であるとは言えません。ただし、全く価値がないカードというわけでもないのもまた事実。ここについて説明していきたいと思います。

 

BFの強い動きとは

そもそもBFで強い動きとは何か、これをご存知でない方も多いと思いますので、簡単に説明します。詳しいテーマ紹介は次回の記事に回しますので、今回はあくまでざっくりです。

 

BFの理想的初動札ですが、最理想は「<BF-精鋭のゼピュロス>+<黒い旋風>or特殊召喚できるBF」であり、時点が「<BF–毒風のシムーン>+コストとなるBFモンスター」の組み合わせです。現在、1枚初動と言えるカードは存在しません。

 

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特に<黒い旋風>はパワーカードで、全てのBFモンスターに召喚成功時サーチを付与する効果とほぼ同義であります。普通に強いです。また、手札から特殊召喚できるモンスターも豊富であるため、展開も伸びやすく、先ほど紹介した組み合わせであれば「先行カリユガ」「先行VFD+アルティメットファルコン」「シムルグアストラムサベージ結界像」などといったなかなかにいかつい盤面を確定で作ることができます。後攻をとっても、余裕でワンキルできる打点を並べられます。ここだけ聞くとめちゃくちゃ強そうなテーマに感じますよね。

 

じゃあ何が問題なの?

しかし、現状のBFには、この初動を安定させるカードがなく、2枚初動となって先ほど紹介した盤面を組めるだけの展開ができる組み合わせは上記2つ以外に存在しません。それ以外で同じことをしようとすると、3枚初動になります。

できなくはないけど安定しているかと言われるとかなり微妙なラインです。

 

じゃあドローをすれば初動札が引けるのではないか?全くもってその通りです。しかし<翼の恩返し>ではだめなのです。なぜかというと、<翼の恩返し>を発動した時点で既に召喚権を使用している場合が多く、2ドローで初動札を引いたとしてもどうしようもないのです。なんなら場にモンスターがいると効果が使えないシムーンは完全に腐ってしまいます。

 

<翼の恩返し>を使って展開を伸ばすには、BF2枚を引いて場に並べることはできたけど、理想展開するために必要な札ではないために、3枚初動となる3枚目のBFを引く以外には、基本的に活用方法がありません。同じ条件なら、初動確保ができる可能性のある<強欲で貪欲な壺>や<闇の誘惑>の方が圧倒的に強いのです。

 

また、<翼の恩返し>の発動条件は、場が全て鳥獣出なくてはいけませんが、BFの最終盤面が鳥獣のみになるというのはほとんどなく、あった場合にはだいぶ弱い場である場合がほとんどです。つまり、2ターン目以降確実に腐るカードになります。

 

え?BFってシンクロテーマだからBFシンクロモンスター立てればよくないかって?一言で言って、現状のBFでBFシンクロモンスターを立てるのは、シンプルにアド損です。立てたところで何もできないからです。役割を持てそうなのは完全耐性である<BF-フルアーマード・ウィング>か召喚権を追加できる<BF-星影のノートゥング>ですが、前者は立てたところで3000打点しかないので現代遊戯王では一瞬で突破される点、後者は実はBFでレベル6を立てるのは結構条件があるという点があり、これもなかなか安定しない動きです。

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以上のような問題点を解決できるわけでもないため、<翼の恩返し>はBFの強化と言える要素をほとんど持っていないということになります。強くない2枚を3枚初動に変える場合か、手札誘発を引き込むくらいにしか役割がありません。ドロー加速ができるならば、罠を増やすという選択肢もありますが、BFの展開力を生かし、そこに罠を搭載するような枠は40枚デッキを基準として考えるとほぼ空いていません。活用はなかなか厳しいカードかなと思います。

 

BFにおける<翼の恩返し>のまとめ

以上の内容をまとめると

 

①<翼の恩返し>は初動確保にはならない

②<翼の恩返し>は現状のBFの展開に合っている効果ではない

③1ターン目以外に活用できる場面がかなり少ない

 

という観点から、<翼の恩返し>はBF強化とはなり得ないと私は考えています。

 

とはいえ、効果自体は強いので...

とまあここまで厳しい意見を述べてきましたが、発動後の制約なしで2ドローはなんやかんや強いです。というわけで「<翼の恩返し>をBFで生かすとしたら、私ならこういう構築にする」というデッキを紹介して終わりにします。

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こんな感じです。先述の通り、<翼の恩返し>を発動した後にBFを引いても動けないという状況をなるべく減らすための構築にしています。また、ドローカードをモリモリにし、デッキの中に特定のギミックでしか使用しないカードを極力減らして、素引き事故やコスト除外での事故を軽減しています。とりあえずレベル4の非チューナーBFを場に出しておけば、高い確率でハリファイバー展開かノートゥングを使っての更なる召喚で展開を伸ばすことができるのでまぁまぁ安定します。また<BF-南風のアウステル>+<BF-砂塵のハルマッタン>の組み合わせでバロネスかフルアーマードが立つので、ニビルケアしながら動ける場合もあります。

最理想である「ゼピュロス+旋風orレベル4BF」を引いた場合、「シムルグ+インフィニティ+巨神鳥」が確定します。手順は以下の通り。

 

1.ゼピュロス召喚。4BFを特殊召喚

2.上記2体でワイズストリクス。効果でデッキからブラストを特殊召喚。(1の時点で<黒い旋風>が場にある場合は、レベル4BFであれば何を出してもいいです。)

3.場のブラストを戻してゼピュロス蘇生。ブラストを自身の効果で特殊召喚

4.ブラスト+ゼピュロスでフォースストリクス。効果で何かサーチ。おすすめは次ターンを考えてアウステル。

5.フォース効果処理後にワイズ効果でソウルシェイブセット。

6.ワイズとフォースでシムルグを特殊召喚

7.ソウルシェイブ発動してインフィニティ。

8.エンド時、シムルグ効果で巨神鳥特殊召喚

 

上記の動きが鉄板ですが、それ以外にもたくさんルートがあるため、ドローしてきたカードに合わせて使い分ける必要があります。その辺を考えながら戦えるので使ってて楽しいデッキに仕上がっています。<翼の恩返し>をBFで使ってみたいけど、どういうデッキにしたらいいかわからないという方はぜひ参考にしてみてください!

 

次回予告

BFについてもうちょっと詳しく紹介したいと思います。BFをよく知らない方だと、<翼の恩返し>が強化にならないって話もピンときにくいのではないかと思いますので...次回もどうぞよろしくお願いいたします。