知識と日陰の備忘録

遊戯王に関することをそこはかとなく書きます

BF解体新書〜BF連載2回目・テーマ紹介〜

こんにちは!発表された制限改訂を見て首を捻りまくっているアキーシャです!なんというか、言いたいことはわかるけどそうじゃなくね?って感じの改訂でしたね〜...とりあえずいいかげん魔鍾洞はぶち込んでくれってのと、とばっちりでγが減ったPSYフレーム使いの方々には同情の念がつきません。強く生きてください...

 

何かのとばっちりでテーマが弱体化してしまうというのが遊戯王の醍醐味でもあり、悲しいことでもあります。ミニ連載ということで今回はそんな同じ悲しみを背負った過去のあるテーマ、BFについて紹介していきます。

 

前回の記事はこちら

 

www.yp-knowledge.com

 

連載第1回は、鳥獣族汎用強化カード、<翼の恩返し>とBFにまつわるお話です。今回の記事はBFについて詳しく述べていきますので、前回の記事を読んでもBFのことがいまいちピンと来なかった方、<翼の恩返し>をみてBFに興味を持った方なんかにおすすめです。私より手練のBF使いの方々に見られる可能性があるのはかなり恥ずかしいのですが、一応私が一番長く握ってる山なので、もっとも多くのことを語れるテーマなのです。なるほどなぁと温かい目で見守っていただければ幸いです。それでは、いってみましょう。

 

 

 

BFとは?

2008年に登場した闇属性・鳥獣族を中心とする、シンクロ召喚をメインとしたテーマです。遊戯王5D'sに登場するキャラクター、クロウが使用していました。当時のOCGのカードパワーからするとインチキ臭い効果、展開力を持っていたため、環境を席巻し、ついには世界大会優勝という結果を残すまでになりました。

 

その強さから、多くの規制をうけた過去もありますが、時が経つにつれその強さが適正とみなされていくうちに、次第にフルパワーを取り戻しました。現在、フルパワーになり、DPで一度新規をもらってはいるのですが、環境レベルと比べるとやや見劣りしてしまうパワーのテーマであります。

 

BFの強みとは何か?

宇宙最強のカード、<黒い旋風>の存在

 BFの強さを語る上で欠かせないカードはまずこれ。<黒い旋風>です。

f:id:yp-knowledge:20191202173842j:plain

BFモンスターの通常召喚時に、その召喚したモンスター未満の攻撃力を持つBFをデッキからサーチすることができる、シンプルなパワーカードです。これはつまりどういうことかというと、全てのBFモンスターに、召喚成功時サーチ効果を付与するという意味であります。弱いわけがありません。むしろ登場当時のカードプールから考えれば強すぎます。実際に、過去には規制経験もあるため、多くのプレイヤーに「強いカード」と認識されていたことは間違いありません。

 

簡単にモンスターを並べられる

では、サーチしたあと何をするのか?<黒い旋風>でサーチするためにはすでに召喚を行なっているため、そのままでは次の動きにつながりません。(まぁ10年ちょっと前の環境であればそれだけでも十分強かったんですけど...)

しかし、さすがは元環境デッキ。サーチ後にもすることが残っています。BFは、同名以外がいれば手札から即座に特殊召喚できる効果を持っているモンスターが複数いるのです。ですので、簡単に場に2体以上のモンスターを並べられます。

さらに、特殊召喚できるモンスターの中には<BF-疾風のゲイル>をはじめ、チューナーモンスターがいます。これを利用して古くは大型のシンクロモンスターに、現在では<水晶機巧-ハリファイバー>につなぐといった展開が可能になっています。しかも、一部のモンスターには特殊召喚の回数に制限がないため、連続で場にモンスターを展開できるのも魅力的です。

 

DPでの強化

その後、時代が進み、BFのパワーであっても環境クラスのデッキとやり合っていくのが非常に難しい状態になっていきました...かつて世界大会を制し、実はコンスタントに数枚強化をもらっていたBFでしたが、10期のDPにてついに大幅強化を得ることとなりました。それが<BF-毒風のシムーン>です。

 

f:id:yp-knowledge:20191202175037j:plain

待望の<黒い旋風>を引っ張ってこれるカードが登場しました。しかもデッキから「置く」効果なので<灰流うらら>を避けられます。手札で発動する効果なので<無限泡影>も避けられます。しかもこれは効果で召喚するので、通常召喚権がまだ残っています。つまり、シムーンでサーチしてきたBFモンスターを召喚することで、さらにBFモンスターをサーチできる、ということです。マジで最強すぎます。闇属性しかEXから出せなくなる制約や、エンド時1000ダメージを受けるというデメリットがありますが、どうということはありません。

 

また、このカードと一緒に登場した新規もまた強いのです。

f:id:yp-knowledge:20191202175003j:plain

レベル4のチューナーです。除外ゾーンのBFを引っ張ってこれます。シムーンのコストで除外したBFを引っ張ってくれば実質ノーコストです。しかもシムーンとアウステルでレベル10シンクロが作れます。そして、用意周到、最強のレベル10シンクロが新規として配られました。

f:id:yp-knowledge:20191202175024j:plain

完全耐性、寝取り効果、爆殺効果とやりたい放題のカードです。寝取りと爆殺をするために必要となるカウンターも自分で用意できるという完成したカードです。なんなら墓地のアウステルを除外することでばらまきもできるため、即座に寝取り効果を使えます。完全に完成された動きですね...

 

その後も、ストラク候補にBFの名前が上がるなど、新規をもらえるフラグが立ちますが、このDP以降、目立った動きは起こっていません。

 

BFって何ができるの?

ここまで、BFの強みを紹介してきましたが、じゃあその強みを生かしてBFが何をやれるのかを紹介いたします。

 

前提となる初動札

BFは基本的に3枚初動となるデッキだと考えておいてください。しかし、条件付きで2枚初動になる場合があります。その条件というのが

「<BF-精鋭のゼピュロス>+<黒い旋風>or特殊召喚できるBF」

「<BF-毒風のシムーン>+BFモンスター」

です。これらが成立すると何ができるかってのを簡単に紹介いたします。

 

できることその1:シムルグ結界像アストラムサベージ

これはシムーン初動だと闇縛りがつくのでできません。結界像をアストラムで守りつつ、隣に1妨害添えるやつです。シムルグ効果で結界像に対する<無限泡影>を避けられます。成立すれば大体勝てます。弱点としてはニビルケアがしにくいのと誘発もらうと立て直しがしにくいこと、ライフを投げ飛ばさなきゃいけない点です。あと、最近はメイン採用もよくされる一滴がケアできないです。

 

できることその2:VFD+アルティメット・ファルコン

闇しか出さないのでシムーンからでも展開可能。ちなみに、「シムーン+レベル4」ならばおまけにサベージもたちます。こちらもとても強い盤面です。最悪VFDが突破されても3500打点の完全耐性であるアルティメット・ファルコンを超えるカードは限られます。弱点はこちらもその1とほぼ同様です。また、展開途中使用する<RR-ワイズ・ストリクス>に<無限泡影>を当てられたら終わります。

 

その3:先行カリユガ

アキーシャが絶賛愛用中の構築。相手の効果を封じ、フリーチェーン大嵐を持っている<DDD 双暁王カリ・ユガ>を相手ターンに着地させ、実質ターンスキップを強いるコンボです。指名者以外の手段でも誘発がケアできる可能性が高いことと、一滴がきかないという点で上記の2つより優れています。また、ゼピュロス、シムーン、どちらが初動になっても展開できます。しかし、効果無効が着地ターン中ですので、アーゼウスを立ててエンドされると終わります。

 

もちろん、これ以外にもたくさんの展開ができるのですが、紹介した3つの盤面がかなり強固な部類に入ります。

 

めっちゃ強そうに見えてきたがしかし...

ここまでを見ると「え、BF」ってめっちゃ強そうじゃね...?て思われるかもしれません。実際、決まればめちゃくちゃ強いです。初動2枚なのもなかなか強そうです。しかし、重大な問題点をいくつか抱えているというの厳しい現実がありますので、それを紹介していきます。

 

問題その1:初動どう確保すんの問題

2枚初動で動けるので、そこだけ見れば環境デッキにもそれほど引けをとらないように思えます。しかし、現在のBFには初動札をサーチする手段がありません。唯一初動サーチと言えそうなシムーンも、自身が初動札みたいなもんですし、シムーンをサーチする手段がないんです。「え?旋風でサーチすればいいじゃん?」ってそれはそうなんですが、基本的に通常召喚から動き出すデッキなので、初動に召喚権を使えなければ終わります。

 

もちろん、他にもそういうデッキはたくさんあります。そして、そういったデッキに採用される初動確保の手段は大体壺系のカードになります。しかし、BFは思考停止で壺を使っていいかと言われればそうではありません...それが次の問題に関わります。

 

問題その2:展開に必要な札が多い

メイン・エクストラともに、展開に必要となる札が結構多いです。そのため<強欲で貪欲な壺>及び<強欲で金満な壺>のコストで必要な札が飛んだ時に何もできなくなるため、採用しづらいです。<金満で謙虚な壺>は活用可能性があるにはありますが、そもそもメインが結構枠がいっぱいなので、デッキ枚数を増やしてでも壺を採用した方が良いのか、デッキ枚数をなるべく抑えた方がいいのか、かなり微妙なところであります。

また、展開に必要な札が多いということは、潤沢に手札誘発や汎用妨害カードを積むのが難しいということにもつながります。そのため、デッキの構築が非常に難しいです。

 

問題その3:そもそもBFテーマ内カードだけでは何もできない

先ほど紹介した最終盤面に出てきているカード名をご覧ください。BFのカードは一切ありません。そうです、BFのテーマ内のカードだけで勝つのは非常に難しいのです。これいうと燃えそうであれなんですけど、BFデッキで展開をしたいときにBFシンクロモンスター特殊召喚するのはシンプルにアド損です。

 

完全耐性を持ってるフルアーマード、召喚権追加を持っているノートゥングをはじめとして、効果自体は悪くないのですが、以下の点でどうしても他のカードが優先されます。

 

①直接的にアドバンテージを取ったり、展開を伸ばすための効果ではない

②相手への妨害ができない

 

①はより簡単に言えば、展開札のサーチです。基本的にBFは<黒い旋風>以外にサーチorドロー効果を持ったカードがありません。ですので、シンクロモンスターを出すと展開が止まります。唯一墓地から吊り上げ効果を持っているのは<BFT-漆黒のホーク・ジョー>ですが、レベル5以上でないと釣り上げられないためシムーン展開でないと使いにくく、かつホークジョー自身が戦士族であるという点が少しマイナスです。

じゃあ、シンクロモンスター立てて蓋すればいいじゃん!その通りです。その通りなのですが、それに関わる問題点が②です。BFシンクロは相手への妨害性のがほぼ皆無です。フルアーマードを立てて生き残れば強いですが、現代遊戯王において3000打点は妨害がなければ普通に作れます。シンクロを展開するにも、鉄板コンボであるハリラドンシムーンの相性が悪いというのがなんとも...で一言で言ってしまえば全部が中途半端になっている、というのがBFの現状かなと思います。

 

問題その4:環境が向かい風

2021年4月環境の状態でこの記事を書いているのですが、現環境では、本来他テーマに対する対策札であるはずのカードが全てBFにぶっ刺さります。また、罠カードで牽制するというのもかなりの激痛が走るレベルの痛手です。というのも、BFの最大の弱点は環境トップ時から変わらず、主に罠カードによる召喚潰しです。<黒い旋風>は効果処理時に召喚したモンスターが残っていなければサーチの処理ができず、また特殊召喚可能なBFモンスターも別名BFが場にいなければ出せないからです。場のモンスターを除去されるとかなり厳しくなります。ですので、メインから神罠が入っている低速環境、それに加えて<十二獣ドランシア>の存在が非常に苦しかったです。2021年7月からはドランシアが再び禁止カードになりましたので、今後の環境にも注目です。

 

問題その5:優秀なカードの理不尽な規制

昔、BFには墓地から舞い戻ることで、2回シンクロ素材にできてトークンを場に残すという超絶効果を持った最強チューナーがいました。そいつは効果は強いのですが、通常召喚で場に出すことがもっぱらで、墓地から特殊召喚したこのカードをシンクロ素材にするならBFしか使えないという縛りもあり、悪用対策も施されていた良調整カードでした。そいつの名前は<BF-隠れ蓑のスチーム>です。

f:id:yp-knowledge:20210618184036j:plain

このカードは現在、禁止カードに指定されています。理由は簡単、トークン生成効果及び自信がチューナーであることが、<水晶機巧-ハリファイバー>と相性が良すぎるからです。現在のカードプールであれば、このカード1枚でハリファイバーになれ、その効果を安全に通すこともできます。めちゃくちゃ強いのはわかるんですが、それだけの理由で禁止にされており、BFの強みである連続シンクロの道が1つ絶たれてしまっています。マジでとばっちりもいいとこです。リンク素材にできない縛り付けてくれていいんでマジで早く返してください。

 

まとめ

以上がBFの略歴・強いところ・弱いところでありました。こう並べてみると圧倒的に弱点が多いように見えますが、個人的にはそれは間違いではないと思っています。悲しきテーマです。せめて、展開途中のカードでももっとBFが活かせるようになってくれればなぁと思う今日この頃であります。

とはいえ、BFがダメだとは全然思いません。インチキ効果てんこ盛りであるのもまた事実なので、次回の記事では、BFの強みを活かした、アキーシャの現在使用しているデッキを交流会のレポートと合わせてご紹介したいと思います。それでは、また次の記事で!